少し前にハリウッドスターのブルースウィルスが失語症になり俳優業を引退するといったニュースが流れました。
それに伴い、「失語症」というキーワードが少し世間に浸透したかと思います。
しかし、ブルースウィルスの報道でも「失語症により認知機能が低下し俳優業を引退する」といった報道がされました。
失語症と認知症はイコールでしょうか?
結論から言いますと、失語症と認知機能低下は全く別物です。
もちろん脳血管疾患の影響により認知機能が低下してしまう場合もありますが、基本的には失語症の方は認知機能は保たれます。
失語症は「聴く」「話す」「読む」「書く」「(計算)」の言語機能のいずれかもしくは全てが低下します。
決して「認知機能が低下しているから理解できない」「忘れているから言えない・書けない・読めない」といったわけではありません。
そのため失語症者=認知機能低下と判断しないでください。
失語症者とのコミュニケーション時のポイント
コミュニケーションの代替手段として、50音表(文字盤)はすぐに思いつく方も多いかと思います。
しかし、失語症の方に文字盤は有効ではありません。
言語を正しく操作・選択するのが困難なため平仮名が羅列されている文字盤は逆に負荷が高くなっていしまいます。
またこちらの質問が理解出来ているかによっても変わってきます。
理解出来ていなくて違うことを言ってしまっているのか?理解出来ているが違うことを言ってしまうのか?
これによってもコミュニケーションのポイント・留意点は変わってきます。
①YES-NO質問(例:犬は好きですか?)
②選言質問(例:犬が好き?猫が好き?)
③オープンクエスチョン(例:好きなものありますか?)
①<②<③の順番で難易度が高くなっていきます。
そのため重度失語症の方に「○○さんって何か好きなものありますか?」と聞いたところで理解するのは難しいかもしれません。
まずは段階的に質問をしていくことが大切になってくるかと思います。
次に相手が言いたいことを引き出すポイントです。
①言いたい言葉が中々出てこなくても焦らせない
②書字を促す(文章の一部や漢字の一部、絵など)
③迂言を促す(例:モーモーって鳴く・・・)
①と②に関してはなんとなくイメージがつくと思います。
③迂言(うげん)も大切になってきます。
皆さん100%しっかり単語を言いたがる方も多いですが、大切なことは相手に伝える・伝わることです。
醤油という単語が出てこなくて「あのー・・えーっと・・・」となっていても相手に伝わりません。
「あのー・・お刺身でつけたり・・」といったキーワードが出るだけで相手に伝わることもあります。
聞き手側が上手くキーワードを引き出すことも大切になります。
失語症は障害部位や範囲により重症度は異なり、教科書通りの人はなかなかいません。
我々、言語聴覚士が評価しその方の残存能力をいち早く見つけ出し、有効的なコミュニケーション手段を周囲のセラピストやご家族に情報提供することが言語聴覚士の仕事です。
人によって対応方法は全然異なるので、是非ご相談ください。
言語リハビリあさかわでは完全個別性の自費リハを実施しております。
お越し頂くリハビリの他にも、ご自宅への訪問リハビリやデイサービスや介護老人保健施設へお伺いし評価やリハビリ、講演会など対応いたします。
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