私が介護老人保健施設やデイサービスへ派遣されて行くとよく目にする光景があります。
○○様:刻み食 △△様:水分トロミあり □□様:ミキサー食、水分トロミあり
現場にいる介護スタッフになぜトロミを使用しているのか聞きますが、大抵明確な理由等の返答は得られません。
むせているからトロミ、噛みにくそうにしているから刻み食(嚥下食)といった理由が大半を占めます。
とりあえず刻み食(嚥下食)、とりあえず水分とろみあり は本当に正しいのでしょうか?
答えは × です。
とりあえず刻み食(嚥下食) とりあえず水分とろみあり は非常に危険です!
ではなぜ危険なのか簡単にご説明いたします。
食べ物を摂取する際に
- 食べられるものか判断する(先行期)
- 咀嚼し唾液と混ぜながら食塊を作る(準備期)
- 食塊を喉に送り込む(口腔期)
- 嚥下反射にて飲み込む(咽頭期)
- 食道を通過し胃へ運ばれる(食道期)
といったメカニズムで食事摂取は行われています。
刻み食では②と③に負荷が高くなってしまいます。
刻み食では口腔内で食物がばらけやすくなってしまうため、舌の動きに問題がある方では食物をまとめること(食塊形成)が難しくなってしまったり口の中に食べ物が残りやすくなってしまいます。(食物残渣)
単純に噛めないだけでは、食物に切り込みを入れたり少し軟らかくすることで問題が解消されることもあります。
水分とろみでは④に負荷が高くなってしまいます。
飲み込みの機能(嚥下機能)が低下している方は、水分でむせやすく、トロミを使用することがあります。
トロミをつけることで、飲み込みの反射(嚥下反射)のタイミングが測りやすく、安全に摂取できるようになります。
しかし、トロミの濃度は人によって違いますし、水やジュース等飲み物の種類によっても同じトロミ材の量でもトロミの付き具合が変わってきてしまいます。
またトロミもしっかりと行わないと水分にダマが出来てしまい、逆に誤嚥のリスクが高くなってしまうこともあります。
トロミをつけると、飲み心地が悪くなってしまい水分摂取が減って脱水のリスクが高くなってしまったり
喉に残りやすくなってしまいます。(咽頭残留)
心配は際は、まずはゼリー飲料等で対応することも検討して頂きたいと思います。
本当にトロミが必要なのか。本当に刻み食でなければいけないのか。しっかりと評価・検討をして頂ければと思います。
言語リハビリあさかわでは完全個別性の保険外(自費)リハビリを実施しております。
お越し頂くリハビリの他にも、ご自宅への訪問リハビリやデイサービスや介護老人保健施設へお伺いし評価やリハビリ、講演会など対応いたします。
また、同法人「和のデイサービスあさかわ」の食事を用いて実際の食事を使用して嚥下評価を行うことも可能です。
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